もう、１０年前になる。鹿児島市の市民文化ホールにて「藤原正彦先生」の講演会があった。私は当時、公立教員だったため、仕事終わりに直接ジャージで会場に行ったことを覚えている。
『国家の品格』で、一躍有名になられ、「品格」ブームも巻き起こされた。流行語大賞にもなった気がする。藤原先生の著書を数冊読んでいた私は、講演でも先生に流れる「武士道精神」を感じ取った。
講演終了後、慌てて会場で著書を買い、サインの列に並んだ。ついに私の番が来た時はドキドキした。なぜならば、紳士道を身につけている先生に対して私はジャージ姿という場違いな格好に気づいたからだ。
それでも藤原先生は優しい表情でサインをしてくださった。本当に嬉しかった瞬間だった。
